本文へスキップ
計測3

広告の成果が実際より良く見える、いちばんよくある原因

ヒルトル・フィリップ太郎

広告の管理画面に出ている売上と、決済サービスの管理画面に出ている売上が合わない。

この相談をよく受けます。そして多くの場合、原因は同じところにあります。

そもそも、なぜ2か所から送るのか

コンバージョン(購入や登録)を広告媒体に伝える方法は、大きく2つあります。

ブラウザから送る方法(Meta なら Pixel)は、お客様の画面で動く小さなプログラムが「買われました」と直接送ります。設置が簡単な反面、広告ブロックや iPhone の設定で止められると届きません。実感として、2〜3割は落ちます。

サーバーから送る方法(Meta ならコンバージョンAPI)は、決済が完了したことをこちらのサーバーから直接送ります。ブラウザの状態に左右されないので、確実に届きます。

いまはこの2つを両方使うのが標準です。ブラウザで取りこぼした分をサーバーが補います。

問題は、両方が別々に数えられたとき

2か所から送るということは、1件の購入について2通の報告が届くということです。

これを1件にまとめるには、両方の報告に同じ識別子(イベントID)を付けておく必要があります。媒体側は、同じIDの報告が2回来たら「同じ出来事だ」と判断して1件にまとめます。

このIDが付いていない、あるいは2つの経路で違うIDになっていると、媒体は別々の購入だと判断します。結果として、売上が2倍に見えます

広告の管理画面上では、費用対効果が実際の2倍になります。その数字を見て予算を増やすと、実際には赤字が拡大します。

よくある失敗の形

私が実際に見た(あるいは自分でやった)失敗を挙げます。

IDの作り方が2か所で違う。 ブラウザ側では小文字に揃えたメールアドレスから、サーバー側ではそのままのメールアドレスからIDを作っていた。1文字でも違えば別のIDになります。

サーバー側だけあとから追加した。 既存のブラウザ計測はそのままに、サーバー計測を足した。IDの話を知らないと、この時点で全件が二重になります。

同じページに新旧2つの計測タグが載っている。 ツールを乗り換えたときに、古いタグを消し忘れる。これも二重です。

金額をブラウザ側で計算していた。 割引やOrder Bumpが入ると、ブラウザ側の計算と実際の決済額がずれます。媒体は先に届いたほうの金額を採用するので、どちらが採用されるかは運次第になります。

確認方法

いますぐできる確認を挙げます。

  1. 広告媒体に出ている購入件数と、決済サービスの件数を、同じ期間で比べる。2倍前後なら二重計上を疑う
  2. Meta の場合、イベントマネージャに「重複除去されたイベント」の割合が出る。ここが低ければIDが揃っていない
  3. 購入完了ページのソースを見て、計測タグが2つ以上入っていないか確認する

設計として、どう解いたか

Fanelioでは、購入イベントのIDを決済サービスが発行する取引IDそのものにしています。

この取引IDは決済1件につき1つしか存在しないので、ブラウザから送ってもサーバーから送っても、必ず同じ値になります。IDを自分で組み立てる必要がないので、組み立て方がずれる余地がありません。

金額についても、決済が確定した実額だけを使います。ブラウザ側で計算した金額は使いません。

同じ取引IDを GA4 と Google 広告にも渡しているので、媒体をまたいでも同じ購入として突き合わせられます。

まとめ

計測の設定は、間違っていても画面上はエラーになりません。むしろ数字が良く見えるので、間違いに気づきにくいという性質があります。

だからこそ、広告の数字と決済の数字を定期的に突き合わせるという運用を持っておくことをおすすめします。月に一度でも構いません。ずれていたら、まず二重計上を疑ってください。